警察物のテレビなどでよく見かけるガサ入れだが実際立ち会うと思わぬ問題が生じる事がある。
それはトイレの問題があるのだ。
トイレに行く事は生理現象なので認めてくれるが、証拠品の隠滅の恐れがある場合はトイレの水すら流せない事を今回初めて知った。（全く役には立たないが）
捜索対象が薬物事案なら排泄の行為まで見られるらしい。
半日近くかけて事務所の書類は全てダンボール箱に入れて持って行かれ商売道具のチケットまで押収されてしまった。
帰り際に刑事が『従業員の方々から後で話を聞く場合があります。その時は後日に連絡するので必ず連絡の取れる場所にいて下さい。特に役職が責任者の方には必ず連絡がくると思って下さい』との事。
時計は既に夕方を回り、私は明日からの事を考え始めた。
「下っ端の連中は皆残っているが、所長やリーダー格の人間が連行された以上、明日からすんなり営業できる訳も無いだろうし、場合によっては給料だってまともに払ってもらえないだろう。これ以上この仕事に関わったらこっちの身にも火の粉が降りかかるかもしれないので、この辺が潮時だろう。後からほとぼりが冷めた頃に未払いの給料を貰いにくればいいか」との結論を出して家に戻ったのだ。
