翌日に出社しても普段と何も変わっていない職場の風景を見て、『昨日の件はなんだったんだろう?』
と改めて考えさせられた。所長に呼ばれて別の部屋で昨日の事の成り行きを説明したら
「それはご苦労だったな、でもそんな場合は下手にゴネないで始末書にサインすれば直ぐに帰らしてくれるよ」
と言われて話はおわった。
再び日常が始まるかと思えば昨日のトラブルを起こした張本人の姿が見えない。
元々向いていない人間は一週間程度で辞めていくので気にも止めなかったが、真っ先に逃げたリーダー格の男がチラチラこっちを見ている事に気が付いた。</ span>
私『先輩、ひどいじゃないですかー』
先輩『悪い、悪い、俺前科持ちだから些細なトラブルでも面倒くさい事になるとマズいんだよ、でも何でも無くてよかったじゃん』
私『俺、今度こんなケースに出くわしたら真っ先に逃げますから』
先輩『分かった、分かった、お詫びに今晩スナックに連れてってやるから』
こんな感じで一件落着したのだ。しかし、この後に本当のトラブルが起こる事はまだ誰も気付かなかった。