4月の6日が太郎の小学校の始業式だ。
『春休みは宿題が無いから一番好き』と言っていたが、今年は塾の春期講習で学校の宿題以上に苦しめられていた太郎も今日からは、四年生だ。夕方学童に迎えに行っての帰り道、
「クラス替えはどうだった？仲の良い友達とは一緒になれた？」
『それがね、田中先生が俺たちの学年になったんだよ』
「へ～、じゃあ担任はまた田中先生？」
『田中先生は3組で、残念だけど俺は1組だったよ』
田中先生とは太郎が一、二年生の時に受け持って頂いた先生で、太郎の一番好きな先生だ。
三年生は別の学年を受け持たれていらっしゃったのが、再び同じ学年担当になられたので友達よりもこちらの先生と一緒になりたかったとは、ずいぶん先生泣かせの事を言うじゃないか。
でもそんな事が新担任の先生に知られると、あまり良い気分にならないだろうから二人だけの秘密にしておこう。
ちなみに田中先生は三十代、新担任の先生は四十代の共に女性だ。
